雪の降る日に、願いを消して
午後
駿が運ばれて行った後、桜子も後を追いかけて教室を出て行った。


あたしは……教室に残っていた。


自分が駿や桜子と一緒にいる事は場違いだ。


そうわかっていたから教室に残ったのに、あたしの心はポッカリと穴が開いたような気持ちになっていた。


駿は今までもああやって倒れた事があったんだろうか?


その度に桜子は助けていたんだろうか?


もしかしてそれが桜子と駿が付き合わない理由だったりして?


色々な考えが頭の中にぐるぐるとめぐっていて、全然まとまらない。


強く頭を振って自分の考えをかき消していく。


こんなの、あたしのただの妄想でしかない。


駿が倒れた所なんてあたしは一度も見たことがなかったし、きっと今日がはじめてに違いない。


自分に自信にそう言い聞かせる。


「鈴、大丈夫?」


紗英が心配そうにあたしの顔を覗き込んでくる。


「うん、大丈夫だよ」


あたしはできるだけ明るくそう言ってみたけれど、上手な笑顔は作れないままだった。
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