雪の降る日に、願いを消して
そう思って見ても、声は出て来なかった。


お互いの話なんてきっと駿は興味ない。


駿にとってあたしはただのクラスメートで、それ以上でも以下でもないんだから。


俯いて、アスファルトを見つめる。


夏の間はジリジリと焼くように熱い地面が、今は冷え切っていた。


ゆっくりと顔を上げていくと、駿の靴が見えた。


駿はまだここにいる。


あたしの声の届く場所にいる。
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