雪の降る日に、願いを消して
「俺のどこが好き?」


その質問にあたしは少し焦ってしまった。


告白の次は答えを聞く番だと思っていたから、質問されるとは思っていなかった。


「クラスの人気者でいつも明るくて、猫を病院に連れていくために遅刻するような、優しいところ。でも、時々今日みたいに顔色が悪くて元気がないから、少し心配」


「……俺の事が心配?」


そう聞かれてあたしは駿から視線を逸らせた。


女子から心配されるのは嫌だっただろうか?


「……少しだけ」


そう答えると、駿は笑った。


そしてあたしに一歩近づくと、あたしの頭に大きな手を乗せた。


駿のぬくもりをこんなに近くに感じたことは初めてで、一瞬頭の中が真っ白になってしまった。


骨ぼったくてゴツゴツとしている男の子の手だ。


「ありがとう」


駿はそれだけ言うと、あたしに背中を向けて歩いて行ってしまったのだった。
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