雪の降る日に、願いを消して
☆☆☆

次の日が休みでよかった。


あたしは真っ暗になった外の景色を見つめてそう思った。


時刻は夜中の2時過ぎ。


眠ろうと思ってベッドに入ったものの、駿の言葉を思い出す度に眠気が遠ざかって行ってしまった。


眠ることを諦めて窓辺に椅子を移動し、そこに座っている。


空には満点の星が輝いていて、窓を少し開けると冷たい空気が入り込んできた。


だけど、少し泣いたあたしにはその冷たさが心地よかった。


「どうして告白なんてしちゃったんだろう」


小さな声でそう呟く。


2人で帰って、調子に乗って、このまま別れてしまうのが嫌だと思った。


その瞬間、紗英の『チャンスだよ』という言葉が蘇って来たのだ。


もちろん紗英は告白するチャンスだなんて言っていない。


声をかけるチャンスとか、一緒に帰るチャンスという意味だったに違いない。


それなのに、あたしは告白してしまった。


「もう少し待っていればよかったのかなぁ」


また、独り言を言った。


今日のタイミングじゃなくて、たとえば桜子と駿が喧嘩をした日とかに告白すれば、あたしにも少しは可能性があったのかもしれない。


そんな事を考えている自分が嫌になって、あたしは窓から離れてベッドへと戻ったのだった。
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