雪の降る日に、願いを消して
☆☆☆

お昼のファミレスは沢山の人でごった返していた。


スーツ姿のサラリーマンに、家族連れ、カップルや友達同士など、色々な人がいる。


あたしと紗英は2人でオムライスを食べ終えた所だった。


「で、昨日はどうだった?」


口の中に残ったオムライスを水で流し込んだ紗英が、さっそくそう聞いて来た。


駿の事を聞いているのだと、すぐに理解できる。


あたしは自分の心が少しだけ重たくなるのを感じながら、口を開いた。


「途中まで一緒に帰ったよ」


「やっぱり! 駿を追いかけて行った後戻ってこないから、うまく行ったんだなって思ってた!」


紗英は嬉しそうに頬を赤らめてそう言った。


うまく行った。


うん、確かにあそこまではうまく行っていたのかもしれない。


駿だって、嫌な顔はしていなかったんだし。


「どんな話をしたの?」


「トラの話」


「あの猫? そうなんだ、やっぱりあの猫はいつでも鈴と駿の仲を取り持ってくれるんだね」


紗英はそう言い、自分の言葉にうんうんと頷いた。


「で、他には?」


「他には……」


あたしはそこまで言い、言葉を切った。
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