雪の降る日に、願いを消して
そして紗英を見る。


紗英は好奇心をむき出しにした表情であたしを見ている。


もっと進展があったとか、もっと面白い話を待っている顔だ。


「鈴?」


黙っているあたしを見て、紗英は首を傾げた。


「告白した」


「へ?」


「駿に告白した」


そう言う声が自分のものとは思えないくらい、他人事だった。


水をひと口飲んでみても、下の上で砂に変わってひどくザラついている感じがする。


「え、本当に!?」


紗英が大きな声を出したので、周囲の人たちが視線を向けて来た。


「駿はなんて言ってたの?」


紗英は周囲の視線に気が付いていないようで、あたし1人が居心地が悪くなる。


「『ありがとう』って」


さっき食べたオムライスがお腹の中で砂に変わっていく感覚がした。
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