雪の降る日に、願いを消して
駿には妹が1人いて、その子を写真で見せてもらったことがあった。


とても綺麗で中学校2年生には思えないくらいに大人びていると感じたことを覚えている。


けれど目元が駿にそっくりで、やっぱり兄妹なんだなぁと思ったのだ。


「やっぱり、すごい美人だね」


耳打ちするように紗英がそう言って来た。


あたしは「そうだね」と、頷く。


近くにいる駿の妹は写真で見るよりもずっと綺麗で、下手をするとあたしたちよりも年上に見える。


身長はあまり高くないようだが、ヒールをはいているのであたしや紗英と同じくらいはありそうだ。


名前はなんて言ったっけ?


確か……モナだったか、モエだったか……。


そう思っていると、妹と不意に視線がぶつかった。


あっと思ったけれど向こうはあたしたちの事を知らないはずだ。


視線をそらせてレジに向かえばいい。


そう思ったけれど、妹はあたしたちに気が付くと真っ直ぐこちらへ向けて歩き出したのだ。
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