雪の降る日に、願いを消して
ジロジロ見たことを怒っているのかもしれない。


でも、駿のクラスメートで写真を見せてもらったから顔を知っていたと言えば、通じるはずだ。


そう考えたあたしは妹から視線をそらさず、笑顔を向けた。


「あの」


妹があたしたちの目の前で立ちどまりそう言った。


「あ、こんにちは」


軽く頭を下げると、妹の方は怪訝そうな表情を浮かべた。


駿の名前を出そうと思ったけれど、妹が先に口を開いていた。


「あなた、鈴さんですよね?」


そう言われてあたしは目を丸くして妹を見た。


妹は冷たい視線をあたしに向けている。


「そ……そうだけど……。駿の妹さんだよね?」


「そうです。萌です」


そう返事をしながらも、怪訝そうな表情は変えない。


なんだか嫌な空気が漂っている。


そもそもなんで萌ちゃんがあたしの名前を知っているんだろう。


駿がなにか言ったのだろうか?


だとしたら、何を言ったのだろうか?


萌ちゃんの表情を見ている限り、それがよくない事である可能性が高い。
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