雪の降る日に、願いを消して
「あたしは――」


そこまで言い、一旦言葉を切って思いっきり空気を吸い込んだ。


冷たい空気のおかげで心が少しだけ澄んでいくような気がする。


「駿に告白した」


「え?」


桜子の目が大きく見開かれていく。


それはまるでスローモーションのように、ゆっくりと。


「でも、ダメだった」


そう言った瞬間、胸がチクリと痛んだ。


理解していても、口に出すとやっぱり辛い。


桜子にそれを伝えると言う事で、痛みは倍増しているようだ。


「告白……したの?」


桜子はジッとあたしを見つめてそう聞いてくる。


「うん。した」


あたしは頷く。


「……そっか」


「でもダメだった。振られた」


「そっか……」


桜子は見開いた目のまま、あたしから視線を逸らせた。


あたしが何を言いたいのか桜子はもう気が付いてもよさそうなのに、なにも言わない。
< 83 / 312 >

この作品をシェア

pagetop