雪の降る日に、願いを消して
☆☆☆

今日は休憩時間の度に聡樹があたしのところへやってきて、どうでもいいようなくだらない会話をしてくれた。


あたしの気持ちが駿や桜子へ向かないようにしてくれているのだと、すぐにわかった。


今朝あたしのどす黒い感情を目の当たりにしたばかりなのに、聡樹の優しさが胸の奥にしみこんでいく。


「鈴、今日は一緒に帰ろうぜ」


放課後になってすぐ聡樹にそう言われて、あたしは「サッカーは?」と聞き返した。


「今日は地域チームの練習の方に行くんだ。だから帰りは同じ時間だ」


そう言ってニカッと笑う聡樹。


本当だろうか?


あたしのことを気にかけてそんなことを言っているのだとしたら、申し訳ない。


聡樹のサッカーの邪魔をするつもりはないんだから。


そう思っていると同じサッカー部の生徒たちが「じゃぁ、また明日な!」と、聡樹に手を振って帰って行く姿が見えた。


どうやら嘘はついていないみたいだ。


ホッとして聡樹に笑顔を向ける。


「わかった」


そう言い、あたしは聡樹と2人で教室を出たのだった。
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