雪の降る日に、願いを消して
もうとっくに出勤時間は過ぎているはずなのに、まだ家にいたのだと気が付いた。
ノックの後、お母さんが部屋に入って来た。
体温計を渡すとしかめっ面を浮かべる。
「高いわねぇ。どうする? 病院行く?」
その質問にあたしは「ううん」と、左右に首を振った。
本当は早く病院へ行った方がいいのはわかっている。
だけど、今起き上がって動くということがしんどいのだ。
「そう。それなら少しだけでも食べて、薬を飲んでちょうだい」
お母さんはそう言うと一旦廊下へ出て、お盆に乗せたお粥を運んできてくれた。
小さな土鍋で作られた一人分のお粥。
その香りはとても美味しそうなのだけれど、食べたいという欲求は湧いてこなかった。
「ほら、一口でもいいから」
そう言われて上半身を無理やり起こす。
頭を起こすとメマイを感じた。
フワフワと、脳だけ無重力の中に放り出されたような感覚。
ノックの後、お母さんが部屋に入って来た。
体温計を渡すとしかめっ面を浮かべる。
「高いわねぇ。どうする? 病院行く?」
その質問にあたしは「ううん」と、左右に首を振った。
本当は早く病院へ行った方がいいのはわかっている。
だけど、今起き上がって動くということがしんどいのだ。
「そう。それなら少しだけでも食べて、薬を飲んでちょうだい」
お母さんはそう言うと一旦廊下へ出て、お盆に乗せたお粥を運んできてくれた。
小さな土鍋で作られた一人分のお粥。
その香りはとても美味しそうなのだけれど、食べたいという欲求は湧いてこなかった。
「ほら、一口でもいいから」
そう言われて上半身を無理やり起こす。
頭を起こすとメマイを感じた。
フワフワと、脳だけ無重力の中に放り出されたような感覚。