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くねくねと熊のぬいぐるみをもてあそびながら、まだ聡志も熊気分なのか、いくぶん高い声で聞いてくる。

あーもう、こういうしつこいトコ。すっごくイヤだ。

「なぁ。吐いてみ、菜々羽」

うざい。

「ねぇ、」

「おう？話す気になったか？」

「うーん。菜々羽お腹すいたなー。お酒も飲みたいなー。お酒飲んだら口が軽くなるかもなー」

とっとと酔わせて潰して寝落ちさせちゃえ。
結衣ちゃんが迎えにくるまでずーーっとこの調子で”吐け吐け、吐け吐け”言われるなんて、そんなのうんざりよ。

腹黒さを閉じ込めて菜々羽はニッコリいい笑顔。
しかも、上目遣いでバレない程度に可愛らしい甘えた声を出した。

聡はそんな下心のある笑顔とも知らず、

「おう、いいぞいいぞ！お兄ちゃんおごってやるぞ。なんでも好きなモノ食って飲め飲め」

上機嫌だ。



うん。ちょろいよ聡志。大丈夫かな？

「…………、オレオレ詐欺には気を付けなよ？」

妹の下心に全く気が付かないなんて、プロの手にかかったら一網打尽なんじゃないだろうか？
騙されて、借金作らないでよ？”オニイチャン”？