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聡志と来たのは駅の近くの定食屋。
定食屋なのにお酒も飲める便利な店だ。
お酒も飲めるし、バランスの取れた定食も食べられる。料金も安い。
ただ、あまりオシャレとは言えないのが難点だがーー。

「--あれ?西條さん?」
「え?」
「ああ、やっぱりだ!こんばんはー」

にっこりと笑う無邪気な笑顔。

そこにいたのは三人ーーーー。
菜々羽と同じ部署の後輩、佐浦(さうら)と、経理のこれまた後輩、長崎(ながさき)。
そして……今日の話題の人ーー浅葉だった。

声の主は佐浦だ。浅葉は狭い入口の一番後ろ。

ーー目があった。

むー。
どうしてそんなに不機嫌そうなのよ?

佐浦、長崎、浅葉の三人は同期だ。
そのせいか仲がいい。
仕事帰りにつるんでるのに不思議はない。

でも、会社から少し離れた場所で会うなんて珍しい。
誰かこの近くに住んでいるのかな?



「西條さんデートですか?いや、ここでデートってこともないかな?
いや、でもアレっすかね。年季の入った定食屋で飯食えるほど気の置けない仲の2人ってことっすか?」

デートだなんてひとっことも言ってないんですけど。

「いや……デートじゃないわよ。コレ私のあーー」
「はぁぁーー!いいっすね。
あ、オレらは、少し早くあがれたから飯ついでにちょっと飲んでいこうってことになって……」

”コレ私の兄”と言おうとしたのを遮られた。

「そっか。デートかー。西條さんだもんな。
あ、邪魔しちゃ悪いから行きますねー」

おいおいおいおい、佐浦くん。
あんたいい子だけど、ちょっと早とちりだよね。
今日も、独りよがりな憶測で勝手に発注増やして課長に始末書、書かされてたよね。

「え?いや、ちょっとちがっ」
「彼氏さんもイケメンですね。お似合いだなあ。
はーー、オレも早く彼女欲しいや」

コラ、佐浦!人の話聞け。
だからあんたは課長に始末書、書かされるのよ。
しかも書かされても、その早とちりで人の話聞かないところ全然改善してないし。

「じゃあまた明日ーー。失礼しやーす!」
佐浦に脳内で突っ込みを入れているうちに、聡志との仲を『違う』と否定できないまま
佐浦は一人話を完結させて奥の別席へ二人を引き連れて移動してしまった。

「……恋人だって。菜々羽チャン。
いやん。お兄ちゃん照れちゃう」


クッソ。バカ兄貴。
佐浦と一緒にオレオレ詐欺に引っかかってしまえ!!
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