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ゴブッ!!

「げふげふげふげふ」

「菜々羽汚いよ」

あまりにも突拍子もない聡志のセリフに菜々羽は派手にむせた。

「げふ」
ゴフゴフとひとしきりむせて深呼吸をして呼吸と気持ちを整える。

「何かあったかとか……。し、知らない。知らないもん。何もないもん。
お、覚えてないし……いい子だし、これからも会社で仲良く
先輩後輩としてうまくやりたかったの。だから”なかったことにしよう”て言ったの。
イヤだって言われたの!!イヤだって!!どーゆーことよ?理解できないっ!!!!」

だんっ!と勢いでテーブルをたたくとガチャガチャとグラスが触れ合って
思ったより大きな音がした。
周りの人々がチラチラと菜々羽たちの方に視線を向けたが、当の菜々羽は気づいていない。

「ちょっ、菜々?”何かあったか”ってその性的雰囲気含んだ言いぐさなに?
オニイチャン冗談だったんだけど。
 本当になんかあったのか?なんかってちょっと酔って絡んだとか、酔いつぶれて寝ちゃったとか
それで送ってもらったとかその程度だろ?」

「聡志……。
そんな瞳孔開いた目で真剣に言われても怖いって」

酔いつぶれて寝ちゃったまではビンゴだけど、目が覚めたら
浅葉くんのお家で、ベッドに隣同士で寝てましたーー。

目の前のジョッキを空にした菜々羽は、落ち着きを取り戻したのか
ふぅ、と一息ついたあと言葉を紡いだ。


うん。まだ見てる。

--何かあった相手が彼氏といるから気になってるんだろ?


ないないないない。

だって、皆色めきたった目で浅葉くんを見てるの知ってる。
こっそり思ってる子。ガッツリアピールする子。
アピールする子はやっぱり自分に自信があるのか、浅葉くんに並んでも劣らないくらいの綺麗な子たちばっかり。
より取り見取り、食い放題ーーーー

そんな中であたしをチョイスとかフツーありえないって。
思い込んで、舞い上がって調子に乗れるほどあたしだってバカじゃない。
シたからって、なかったことにできるくらいの恋愛経験は……ないけど、
”責任とってよーー!!”って言うほど若くない。
なかったことにできるくらいの年齢は重ねてきたって思ってるもの。
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