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触れる指先を振り払って菜々羽は叫ぶ。
目の前の浅葉は薄暗い部屋の中でもわかるくらい頬を染めて、伏し目がちだ。

なにその恥らう乙女みたいな態度。
浅葉の脳内に昨日のナニが思い出されて乙女みたいな態度になっているのかなんて、知りたくもなかった。

「あ、浅葉くんなんかヤダ。その脳内のあたしを消して欲しい」

覚えてない。
あたしは全く記憶にない。
ーーなのに、あたしの知らないあたしを思い出して頬を染められてる。
その現実に軽く眩暈。

可愛い?

「ダメです。
あんな可愛い菜々さん忘れるなんてもったいない。
ああ、でもーーほかの人の前であんな顔しちゃダメですよ?」

アンナ顔ッテドンナ顔?

頭の中で”ピーッ”と耳障りなエラー音が鳴り響く。
もう無理。
許容範囲外。
そのエラー音はあたしの脳味噌が停止した音だった。
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