鷭さんと愉快な仲間たち

 楽しく話しながら駅まで歩いた。

 渡したハンドバック一つ、彼は鞄すら持っていなかった。

 「これから移動ですが、大分遠回りします。乗り物酔いしますか?」

 「…距離によるかな」

 「それなら酔い止めを買っていきましょう」

 それからは地獄だった。

 電車に乗ったかと思えばすぐにおり、タクシーで無意味に小道を旋回し、また電車にのり、地下鉄を乗り継ぎ新幹線に乗ったかと思えばまた電車で戻ると言う理解不能な移動方法だった。

 酔うなんてもんじゃない。

 夜行バスに揺られながら、目を開けて景色でなく私を見ている鷭さんは疲れ知らずか。

 「…あの・・・一体どこまで?」

 「明日も移動しますからもう寝てくださいね」

 答える気のない彼は、一言目的地が記録に一切残らないようにしたい。と言った。

 
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