鷭さんと愉快な仲間たち
次の日、夜行バスの到着駅からすぐさまタクシーに乗り三時間。
小道で下されたかと思えば徒歩二時間歩きっぱなし。
見たことも聞いたこともない地名の狭い路地裏を抜けた先。
観光地には向いていないだろう寂れた街並みの一角。
忘れ去られたように、建物と建物に挟まれて立っている店の階段を上がった。
一歩進むたびに階段がきしみ、崩れるんじゃないかとひやひやした。
そこを慣れた様に進みながら時折私を気遣い振り返る鷭さん。
たどり着いた扉を開ければ、応接室のような簡易の机とソファが二つ向き合うように置いてあった。
「随分と遅かったねぇ」
勝手にソファに座った鷭さんと同時に、奥から一人の男性が現れた。
顔見知りらしく鷭さんは気にせず私に座るよう言ってくる。
「それは、連れがいるから。で間違いないのかなぁ?」
間延びした話し方の男性は私と鷭さんを交互に見た。