鷭さんと愉快な仲間たち
不愉快そうな鷭さんと楽しそうな許丸さん。
二人は本当に仕事上の付き合いだけに見える。
「…鷭ときょんは相変わらず仲悪い」
ちりんちりんと鈴の音がした。
振り返れば奥から女の人が出てきた。
お盆を持っているが、目を閉じたまま歩いていた。
「久しぶりですねちよさん。前回はどちらに?」
「長野の方へ。野暮用だよぉ」
代わりに答えた許丸さんは女の人を見る私の視線に気づいて教えてくれた。
「パートナーの緒麿(ちよまろ)。目が見えないんだよ」
「どうも。ちよとおよびください」
「あ、日雀です。よろしくおねがいします」
「挨拶しなくていいですよ。それよりも情報が欲しいです」
「じゃぁまずはワタシの質問に答えてからだねぇ。なぜこんなに時間をかけてここへきたの?」
意地悪くほほ笑む許丸さんは答えを知っているようだった。