鷭さんと愉快な仲間たち
「…その依頼人はターゲットの殺人を掃除屋の鷭に依頼した。そしてそれは遂行された。そしてその罪の意識から甘言堂にきた」
「なによ、そんなの裏の世界じゃ繋がってるなんてよくある話じゃない」
「話はまだ続きます。甘言堂にきた依頼人は罪の意識から解き放たれ再びターゲットの依頼を鷭にした。それは再び遂行される。そこで一つ問題が生じた。甘言堂での初めに受けた罪の意識への開放が次に甘言堂へ来た時には感じられなかった。甘言師の技量の問題でなく本来甘言師の仕事は罪の意識への開放なんかではない。それ故に依頼人の望む効力が二度目では発揮されなかった。二度目の依頼は遂行され二人の人間が死んだ。依頼人はそれを掃除屋の鷭のミスとして甘言堂に追求し、甘言師のミスとして鷭に自分の罪を着せて暴れた。一連の騒動は全て一人の依頼人の自己逃避と自分可愛さ余っての出来事。これで話は終わり…」
全然理解出来ない私と違い、二人は神妙な顔で俯いていた。
「つまり…どっちも悪くない?」
「うん」
「…なーんだ。これでやっと気に入らない掃除屋をこの世界から追い出せると思ったのに!」
「甘言師のくせに本音を口にしていいのですか?ちなみに僕はいつでも君を手にかけられますから」
仲良くない二人は一応誤解が解けたようだった。
相変わらず仲は悪いけど。