鷭さんと愉快な仲間たち

 「いやって?」

 「…掃除屋って裏の世界に属してんだよ。狙われたら困るから結婚もできないし」

 初耳だ。そうなのか。

 「弱みになるじゃん、恋人なんかいたら。あたしらみたいに群れて動く方が得な仕事ならまだしも掃除屋なんて群れればそれだけリスクが増す。だから鷭は一人で仕事してるんだしさ」

 知らなかった。

 「あんたの存在も裏では有名だよ。それなのに今まで無事に生きてるのは鷭の計らいのおかげじゃん。鷭もすごいよね。あたしなら無理。守られるだけの存在を抱えるなんてお荷物じゃん。かわいそうに」

 可哀想・・・?

 私は確かに守られるだけの存在かもしれない。

 今の今までそんなことすら考えずに生きてきた。

 鷭さんの仕事への理解だってしてるつもりだった。

 だけど、たしかにそうかもしれない。

 懲らしめたい相手がいた場合、その人の大切なモノを壊すのが一番手っ取り早しだろう。

 それが殺したい相手ならなおさら。

 それでもその手が私に向かないのは、鷭さんのおかげでしかない。

 他に私を守る相手なんていないし。

 
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