鷭さんと愉快な仲間たち
「今回の依頼ってそんなに難しいの?」
「いえ。そんなことはありません。ですが少し古い友人に用があると言う点では厄介とでもいいましょうか」
古い友人?
恋人と言う関係だが、この人付き合いの下手そうな鷭さんに友達の言える存在がいたことが不思議でしょうがない。
恋人の部屋に監視カメラ(音声録音テープ付き)を仕掛けるような男の友達なんて、絶対ろくでもないに違いない。
それに、顔面に他人の血しぶきつけて恋人を起こすような神経の持ち主の友達の素性が気になった。
「…それって私も行っちゃだめ?」
予想外の提案だったらしく、驚いた顔をした鷭さん。
驚きは喜びに変わり嬉しそうに瞳を細めたがすぐさま思いとどまった感じで目を閉じた。
「あなたと小旅行気分を味わうと言うのはとても魅力的ですが、とても連れていけません」
「えーどうして?相手は女の人だから?」
すっかり目覚めた頭でベッドの上に座り、枕を彼に投げつけた。
心底困った顔で鷭さんはそんな私を見下ろしてくる。