鷭さんと愉快な仲間たち
「…でも」
「閉じ込めておけるならこの広くはなくとも快適な部屋から一歩も君を出したくない。けれどそれでは君の息がつまるだろうから妥協して仕方なくたまに外出させてあげているのです。僕の優しさに感謝して遠方についていくなんて無茶なことは言わず大人しくこの部屋にいてください」
「もし、置いていったらこの部屋から出て行くって言ったら?」
「問答無用で出歩けないように外からカギをかけます」
軟禁は監禁にかわるらしい。
なんとしても私を連れて行きたくない鷭さんだった。
「だって、一週間も一人なんて寂しい…」
こうなったら奥の手だった。
話は終わりだと私に背を向けていた鷭さんの動きが止まった。
「…鷭さんに一週間も会えないなんていや!」
「…僕も君と同じ思いです。日雀さんと離れるのは身が引き裂かれる思いです」
振り返りベッドの上に乗った鷭さんは私の手を握った。
言い聞かせる様に視線を合わせて、鷭さんは小さな声で言う。
「出来るなら仕事も直ぐに引退して誰の目にも入らない山奥で二人きりで暮らしたい」
山奥で二人だけとか無理すぎる。
非現実的な発言をさらりと真剣な顔で口にできる異常者は、私の想いなど微塵も理解していないようだ。