VS IV Omnibus2 パペット
◎
「待て、チナ」
操縦席に座ったままのアルバに、ご飯を届けにきたら、引き止められた。
「なぁに、あなた?」
食べているところを、眺めててもいいのかしら。
うふふっと微笑みながら、チナは副操縦席に座った。
「いま、なんつった?」
肉にフォークを突き立てながらも、夫の目は彼女に釘付けだ。
「いま? って…ええと」
何か、気軽な雑談をしていた気がするが、気軽過ぎてすぐに思い出せない。
「いま、『私、あの人たちと会ったことあるかも』って、言ったよな」
夫に復唱されて、ようやくつながった。
そうそう、そういう雑談をしていたのだ。
「ええ、そんな気がするわ…だって、いろいろ知ってる気がするもの」
彼らを感じたり、話を聞くごとに、チナの隙間のパズルが埋まっていく気がするのだ。
レンジ4基の厨房、トランクの少女、サンドリヨン、雷のお菓子。
難しい顔をしているアルバは、どうもそれを歓迎していない気がした。
「でも…会ったのは夢の中かもしれないわよ」
うふふっと、チナは笑った。
子供の頃から、不思議な感覚といっぱい出会ってきたので、もしそうだったとしても、まったく問題はない。
それに、どんな不可解なことがあっても、アルバは絶対にチナを離したりしないと知っている。
その感覚は、彼女をどんなに幸せにしたことだろう。
「いま、軍のラインから、ちょいちょい情報を抜いてるんだが…」
アルバは、計器に目をやった。
そういえば。
この船が軍港から出るとき、ラインを一本、軍とつないでおくとかなんとか、サンドとアルバが話していたような。
まだ、彼らの正体(?)に、アルバは興味があるのだろうか。
道理で、今日はここにずっと閉じこもっているはずだ。
探偵ごっこを、しているのだろう。
彼らの正体なら、プァンスとサンドリヨンと、ちゃんと教えてあげたのに。
「オレの推理が確かなら…」
肉をかみちぎる、ワイルドな歯。
うっとりと、チナがその食べっぷりにみとれようとした時。
「多分…あいつらは…『パペット』だ」
食べ物を口に入れながら、夫はそう言った。
「待て、チナ」
操縦席に座ったままのアルバに、ご飯を届けにきたら、引き止められた。
「なぁに、あなた?」
食べているところを、眺めててもいいのかしら。
うふふっと微笑みながら、チナは副操縦席に座った。
「いま、なんつった?」
肉にフォークを突き立てながらも、夫の目は彼女に釘付けだ。
「いま? って…ええと」
何か、気軽な雑談をしていた気がするが、気軽過ぎてすぐに思い出せない。
「いま、『私、あの人たちと会ったことあるかも』って、言ったよな」
夫に復唱されて、ようやくつながった。
そうそう、そういう雑談をしていたのだ。
「ええ、そんな気がするわ…だって、いろいろ知ってる気がするもの」
彼らを感じたり、話を聞くごとに、チナの隙間のパズルが埋まっていく気がするのだ。
レンジ4基の厨房、トランクの少女、サンドリヨン、雷のお菓子。
難しい顔をしているアルバは、どうもそれを歓迎していない気がした。
「でも…会ったのは夢の中かもしれないわよ」
うふふっと、チナは笑った。
子供の頃から、不思議な感覚といっぱい出会ってきたので、もしそうだったとしても、まったく問題はない。
それに、どんな不可解なことがあっても、アルバは絶対にチナを離したりしないと知っている。
その感覚は、彼女をどんなに幸せにしたことだろう。
「いま、軍のラインから、ちょいちょい情報を抜いてるんだが…」
アルバは、計器に目をやった。
そういえば。
この船が軍港から出るとき、ラインを一本、軍とつないでおくとかなんとか、サンドとアルバが話していたような。
まだ、彼らの正体(?)に、アルバは興味があるのだろうか。
道理で、今日はここにずっと閉じこもっているはずだ。
探偵ごっこを、しているのだろう。
彼らの正体なら、プァンスとサンドリヨンと、ちゃんと教えてあげたのに。
「オレの推理が確かなら…」
肉をかみちぎる、ワイルドな歯。
うっとりと、チナがその食べっぷりにみとれようとした時。
「多分…あいつらは…『パペット』だ」
食べ物を口に入れながら、夫はそう言った。