VS IV Omnibus2 パペット


 アルバだって、暇なときは食い入るようにG.B.を見るのだ。

「何しに、いくんだ?」

 詮索は百も承知で、男に聞いてみた。

 だが、それは行きたくないという意味の質問ではない。

 彼だって、あの襲撃事件は、ハラワタが煮えくり返る思いをしたのだ。

 ただ、そこへ行くということは、まっとうな仕事とは思えなかった。

「…掃除だ」

 答えは、たった一言。

 聞いた瞬間、アルバは大笑いしていた。

 ジョークでもとんでもないし、本当ならもっととんでもないからだ。

「掃除、ね…そいつはおもしろそうだ」

 おかげで、アルバも冗談半分で、引き受ける気になった。

 交渉成立、の瞬間だ。

 アルバは、ニヤっと笑って手を差し出した。

 しかし、男は両手にトランクを持っていて、応えられないことに気づく。

 苦笑しながら、アルバは手を引っ込める。

「で、奥さんはどこにいるんだ?」
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