VS IV Omnibus2 パペット


「サンドリヨンには王子様がいるから…あなたがきっと、プァンスなのね」

 理解できない言葉の羅列に、アルバは空笑いをするしかない。

 時々、銀河の彼方みたいな表現をするのだ、チナは。

 まあ、シンデレラとサンドリヨンが発音こそ違え、同じものだということは、古代文学(メルヘン)好きの妻に叩き込まれていたので、何となく理解は出来る。

 だがそれは、あくまで彼がチナの夫だからだ。

 初対面の変人たちに、通じるはずが──

「あ、うん! それでいい! あたしはプァンス、こっちはサンドって呼んで」

 なのに、少女は本当に嬉しそうに顔を輝かすではないか。

 通じてんのか? それでいいのか?

 変人同士の割り込めない空気に、アルバはずるっと椅子からずり落ちそうになった。
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