フォーチュン
「あぁ失礼した。どうやら俺の勘違いゆえの失態に、笑わずにはいられなくてな」

替え玉を宴に出席させたことがばれれば、ドラークとの友好関係にひびが入るかもしれないというのに。
さすがはバルドー国女帝・ヴィヴィアーヌ。
父上も一目置くほど肝が据わっている。

しかし今は、精一杯威厳を保ちながらも、これからのことを案じ、憂いているのが手に取るように分かる。
確かに、そういう複雑な手を使われたことで事がややこしくなってしまったが、俺だって宴をすぐに抜け出した。
しかも主催している側なのに、「退屈だ」という理由で。
だが、夏至祭たけなわの活気ある街に出かけたことも合わせて、非公式だが訪問先の国でしゃべる必要はない。

どちらにしても、この者たちは俺にとって家族になる。
処罰を与えることは絶対にしない。

とどのつまりは、どっちもどっちということだな。
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