フォーチュン
恐らく替え玉がばれないようにという配慮で、他国の王子との縁談を進め、俺がバルドーに到着する前にアンジェリークを体(てい)良く国外へ出そうとしたのだろう。
女帝にそうさせたこと、そしてアンジェリークを追いつめた責任の一旦は、俺にもある。

アンジェリーク・・アン。

大国とはいえ、相手は王子。
それでもこの威厳にはとても逆らえない!

即座に観念したヴィヴィアーヌとアントーノフは、「かしこまりましたっ、ユーリス様っ」とそろって言いながら、ユーリスに深く頭を下げて同意した。

「あの・・・ユーリス王子」
「なんだ」
「貴方は本当に、アンのことを・・・」
「愛している。そしてアンも俺のことを愛しているはずだ。だからアンは必ずドラークへ来る。俺に会いに」
「あ・・・なるほど・・・」

急に一筋の希望の光が見えたヴィヴィアーヌとアントーノフは、顔を見合わせると、泣きそうな顔で微笑み合った。
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