フォーチュン
今まで一度も場所の特定をしてくれと頼んだことはないが・・・果たして答えは出るのだろうか。
愚者を疑っているのではない。
それよりも、このような問いかけの仕方で、皇女の居場所が分かるのだろうか。

それに愚者は、というより、占術師は、ドラーク以外の国へ出たことがない。
世界地図を見ても、世界の国名全てを知っているのかどうか・・・。
とマクシミリアンが心の中で自問している間に、愚者はタロットを１枚引き、テーブルに置いた。

しかしそれだけでは終わらず、愚者は結局３枚のタロットをテーブルに置いたのだった。

「・・・明るい空の中でも、月と星は存在している。そして月明かりと星の瞬きは、暗い夜空で明るみとなる。先行きが見えぬ不安。同時に抱かれる希望。相反する思いが混沌とする中、ただ分かるのは己を信じて進むこと」

そう言って愚者は、２番目に引いた「１８・月（ザ・ムーン）」と、３番目に引いた「１７・星（ザ・スター）」のカードを、少しだけ前にスッと差し出した。
最初に引かれた「１４・節制（テンペランス）」も合わせて、カードは３枚とも正位置だ。

続けて愚者は、「節制」のカードも、他２枚と同じ位置に合わせるように前に差し出すと、言葉（メッセージ）を発し始めた。
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