フォーチュン
それから20分ほど経った頃、のどかな自然の風景に、よりたくさんの家や店が見え始めた。
空は夕焼けのオレンジ色に染まっている。

「もうすぐうちに着くんだけど、その前にメルを迎えに行くから」
「メル、ですか?」
「うん。メルはうちらの娘よ」
「まあ」

・・・そうよね。
二人は結婚をして一緒に暮らしているんだし、年齢的に子どもがいてもおかしくない。

いきなり娘が話題に出て、驚いたアンジェリークだったが、すぐに納得をした。
時に、ハンナとヤンに子どもがいるという事実を知ったアンジェリークは、二人への信頼度が増したのだった。
 
それからすぐ、荷馬車は、あるパン屋の前に止まった。
音を聞いたのか、それともいつもの時間なのか、タイミングよく中から人が3人出てきた。

「ママぁ、パパぁ!」
「ハーイ、メル。学校は楽しかった?」
「うん!・・・あれ?この人だれ?」

メルにじっと見られたアンジェリークは、メルにニコッと微笑んだ。
< 149 / 318 >

この作品をシェア

pagetop