フォーチュン
それからハンナが言ったとおり、本当にすぐハンナたちの家に着いた。
きちんとペンキが塗られた白い外壁に、茶色の屋根。
バルドー同様、典型的なビシューの家の外観だ。

アンジェリークはメルと手をつないで、小さいながらも手入れの行き届いた庭を通る。
「はいってー」とメルに促されて、アンジェリークは中に入った。


「ハンナさん、お手伝いをしましょうか？」と申し出たものの、アンジェリークは料理ができない・・・。
それを知ってか知らずか、「後はスープを温めるだけだから、メルの相手しててくれる？」とハンナに言われたアンジェリークは、ホッとしながら「はいっ」と元気よく答えた。

全体的に小ぢんまりとした家だけど、きちんと整理整頓ができていて、掃除も行き届いていて。
それでいて家族が暮らしている温かみがあって、とても居心地の良い家だわ。

麦のような黄色に塗られた一面の壁には、黒い鉄のキッチンツールが、横一列に掛けられている。
「これみて！」とメルに言われたアンジェリークは、メルが指をさしている食卓の真ん中にグリーンの瞳を向けた。

< 151 / 318 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop