フォーチュン
結局アンジェリークは、スープを一度おかわりした。
そして、ハンナたちがパンをスープに浸して食べているのを、最初は恐る恐る真似をし、そのうち当たり前にそうして食べていた。

「スープでもソースでも、最後はね、パンですくって食べるの。そうすると皿もキレイになるし、洗い易いでしょ」とハンナに言われたアンジェリークは、納得顔でうなずいた。

幼い頃、一度パンをスープに浸して食べてみたら、母様に「行儀が悪い」と怒られた記憶がある。
それ以来、そうすることは行儀が悪いことだと思って控えていたけど、実際はとても・・・効率が良いことだったのね。

というより、結局はお互い不快な思いをさせないこと。
そしてお互い楽しむこと。
それが美味しく食事を摂るマナーよね。


食事の後、ハンナたちの勧めに従い、アンジェリークは入浴をした。
薔薇の香りがする石鹸で体をゴシゴシと洗い、疲れを取り除く。
自室にあった浴槽よりもだいぶ小さなものだが、アンジェリークの緊張と強張りを解くには、十分な環境だった。
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