フォーチュン
「・・・ありがとう」
「アンはまず、プリウス市国へ行くのよね?」
「はい」
「俺たちは明日、トゥネリへ行く。そこまでならまた荷台へ乗せて行ける」

3人は、小さなテーブルに広げている世界地図で場所を確認した。

「トゥネリからリグド山を越えてグリアへ南下するのは、遠回りに見えるけど、これが一番安全なルートだと思う」
「・・・そうね。山がある分、あまり他国を通らずに済むし」
「それにリグド山くらいの高さだったら、素人のアンでも越えることができるはずよ」
「ああ、そうだな」
「あの。ハンナさんたちは本当に、明日トゥネリへ行く予定なのですか?」 

まさか私のために、わざわざ行くんじゃないのかしら。
そうだとしたらお仕事は・・・。

二人はアンジェリークを安心させるよう、ニコッと微笑んだ。

「本当よ。木曜はいつもトゥネリで店を出してるの。お互いタイミングが合ってよかったよね」
「ええ」

それを聞いたアンジェリークは、心から安堵した。

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