フォーチュン
「もしまたバルドーに戻りたくなったら、ここに戻っておいで。ここじゃなくても、うちがどこにあるか、アンは知ってるよね？」
「ええ・・ええ」
「いつでもうちに来ていいから。ね？あんた」
「ああ、もちろんだ」
「ありがとう」とアンジェリークは言うと、荷馬車から降りた。

「コンラッドに無事会えるといいな」
「はい」
「元気でね。無茶しないのよ」と母親のように気遣う言葉を投げかけるハンナの目には、うっすらと涙が浮かんでいた。

「はい。ハンナさんとヤンさんもお元気で」

「気をつけてね」と言うハンナの声を背に受けながら、アンジェリークは歩き出した。
ハンナとヤンに対する感謝の気持ちが、涙となって溢れ出ている。

それでもアンジェリークは、一歩ずつ歩を進めた。
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