フォーチュン
ここでの「通過料」は、2000ルキアだった。

ビシューとトゥネリ間の正規通過料は、バルドー・ビシュー間と同じ500ルキア。
やっぱりハンナさんたちが言った価格は、とても良心的だったのね。
しかもハンナさんたちは、宿代として払おうとしたお金を、「いらない」と言って受け取らなかった。

『アンはうちらの友だちなのよ。友だちをただでもてなすのは当たり前でしょ?ね?あんた』
『ああ、そうだな』

それだけじゃない。
トゥネリ国に入るときのお金も、「うちらはもう十分お金をもらったよ。それにアンは、これからお金が何かと入用になるよ」と言ってくれて、結局私を無料で匿って送り届けてくれた。

お金はまだ十分あるし、宝石もある。
それでもハンナさんとヤンさんの優しさが、どれほどありがたいものだったのか。
今、わが身と心にとても沁みている。

アンジェリークは、とぼとぼとグリアの街を歩きながら、先の出来事を思い返していた。
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