フォーチュン
「ほら」
「・・・え?」
「これからの生活にお金は必要だよ。それに身分証の発行料も」
「で、でも!そこまでディオドラさんにしていただくわけには・・・」
「取っておきな。それじゃ、アン。元気でね」

ディオドラは、ルキア札をアンジェリークの手に押しつけると、馬車に乗ってサッサと行ってしまった。

呆然と突っ立って、ディオドラを見送ったアンジェリークは、左手に握りしめている、しわくちゃのルキア札に視線を移した。

1000ルキア札が5枚・・・5000ルキアもある!
所持金ゼロだった私には、突如大金が転がり込んで来た様に思えるわ!

「ディオドラさん、どうもありがとう」

ルキア札のしわを丁寧に伸ばしながら、アンジェリークはつぶやくと、グリーンのポシェットにそっとお札を入れて、役所の中へ入っていった。

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