フォーチュン
「あなたのお名前は?」
「あ・・・アン、です」
「苗字は」
「え」
苗字。
この世界では、王家の半数以上は苗字を持たない。
バルドー国・第三皇女のアンジェリークも然り。
ここで「持っていません」と言えば、私が王家の者だとバレてしまう。
どうしよう。
と、アンジェリークが躊躇したのは、一瞬だけだった。
「デュバルです」
あぁ!
咄嗟に出てきたのが、つい先日読んだ本の著者の苗字だなんて・・・!
とても単純過ぎるわよね。
でも、他に思いつくのは「バルドー」「コンラッド」「ドラーク」くらいだし。
アンジェリークが内心ヒヤヒヤしている、なんて全然知らない役所のお姉さんは、特に疑うこともせず、「はい」と言いながら、サラサラとペンを走らせる。
そして最後にポンと判を押すと、「はい、できました」と言って、ニッコリ微笑んだ。
「あ・・・アン、です」
「苗字は」
「え」
苗字。
この世界では、王家の半数以上は苗字を持たない。
バルドー国・第三皇女のアンジェリークも然り。
ここで「持っていません」と言えば、私が王家の者だとバレてしまう。
どうしよう。
と、アンジェリークが躊躇したのは、一瞬だけだった。
「デュバルです」
あぁ!
咄嗟に出てきたのが、つい先日読んだ本の著者の苗字だなんて・・・!
とても単純過ぎるわよね。
でも、他に思いつくのは「バルドー」「コンラッド」「ドラーク」くらいだし。
アンジェリークが内心ヒヤヒヤしている、なんて全然知らない役所のお姉さんは、特に疑うこともせず、「はい」と言いながら、サラサラとペンを走らせる。
そして最後にポンと判を押すと、「はい、できました」と言って、ニッコリ微笑んだ。