フォーチュン
「発行料は1万ルキアです」
「あの・・・私今、手持ちがそんなになくて・・・」
恥ずかしがってそう言うアンジェリークに、役所のお姉さんは、またニッコリ微笑むと、「分かりました」と言った。
そういう人たちを、すでに何人も見てきたお姉さんは、アンジェリークの窮状にも動じることはなかった。
慣れた手つきでもう一度ポンと判を押すと、「働き先を紹介しましょうか?」とアンジェリークに聞いた。
「まあ。そこまでした下さるんですか?」と素直に驚くアンジェリークに、お姉さんは「もちろんです」と言って微笑んだ。
「今、私どもがミス・デュバルに発行できるのは、仮の身分証です。ちなみに、こちらは無料です」
そうお姉さんは言うと、アンジェリークの方に身分証を滑らせた。
そこには「仮」という赤い文字判が、目立つようにデンと押されている。
・・・そうよね。
何人(なんぴと)にも身分証を発行するチャンスは与えるけど、まさか無料で差し上げる、なんてありえないわよね。
アンジェリークは苦笑を浮かべて、お姉さんを見た。
「あの・・・私今、手持ちがそんなになくて・・・」
恥ずかしがってそう言うアンジェリークに、役所のお姉さんは、またニッコリ微笑むと、「分かりました」と言った。
そういう人たちを、すでに何人も見てきたお姉さんは、アンジェリークの窮状にも動じることはなかった。
慣れた手つきでもう一度ポンと判を押すと、「働き先を紹介しましょうか?」とアンジェリークに聞いた。
「まあ。そこまでした下さるんですか?」と素直に驚くアンジェリークに、お姉さんは「もちろんです」と言って微笑んだ。
「今、私どもがミス・デュバルに発行できるのは、仮の身分証です。ちなみに、こちらは無料です」
そうお姉さんは言うと、アンジェリークの方に身分証を滑らせた。
そこには「仮」という赤い文字判が、目立つようにデンと押されている。
・・・そうよね。
何人(なんぴと)にも身分証を発行するチャンスは与えるけど、まさか無料で差し上げる、なんてありえないわよね。
アンジェリークは苦笑を浮かべて、お姉さんを見た。