フォーチュン
「仮身分証では、レアルタ国外に出ることはできません。つまり、正規の身分証がほしければ、ここ、プリウスかレアルタ国内で、発行料を稼いでもらわないといけないんですよ」
「なるほど」

それは理に適ったシステムだわ。

「ミス・デュバルは、心身ともに健康。20代で・・・住むところはありますか?」
「いえ」
「そうですか」

お姉さんは、ノートをパラパラとめくりながらそうつぶやくと、あるページでピタッと手を止めた。

「メイスン家という貴族が、住み込みのナニーを探しています・・・」
「それは却下でお願いします」

高貴な家柄の人たちのところへ行けば、私が誰かバレてしまう可能性が高くなる。
せっかくここまで来れたんだから、たとえ短期間でも、危ない橋は渡らないほうが良いわよね。
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