フォーチュン
なるほど。
お花を摘んでいる間も、ユリの香りがあたりに漂っているわ。
とても良い香り。
このお仕事もすごく楽しい。


それから20分ほどで剪定を終えたアンジェリークは、籠を背負って歩いていた。
そこに一面、青い薔薇が咲いているのを見て、ふと足を止める。


まあ、何て綺麗なんでしょう。
コンラッドの青灰色の瞳の色とよく似ている・・・。


アンジェリークは、背負っている籠の肩紐を、思わずギュッと握りしめた。

もし、万が一コンラッドが、私を探しにバルドーへ来てくれていたとしたら。
行き違いになっていることも気がかりだけど、でも・・・コンラッドがバルドーへ来てくれても、皇女であった私を見つけることはできないのよね。
だから私がドラークへ行って、コンラッドを見つけ出さなくては。


自分に誓うように、アンジェリークはコクンとうなずいた。

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