フォーチュン
ドラークの王子だからこそ、コンラッドが言わんとすることが分かったのだろう。
そして確かに自分が、生命の木の化身と言われる神聖な存在・占術師(せんじゅつし)に八つ当たりをしてしまった不手際も。

「・・・すまない、愚者」
「ユーリス様、お気になさらず」

ひとまず平穏になったこの場を保つように、コンラッドが口を開く。

「ていうことは、愚者の占術どおり、皇女はレアルタにいたんだな」
「あれだけ探しても見つからなかったのにな・・って、俺は愚者の占術を疑ってるわけじゃなくて!」と、護衛のロキは最後慌てて言い添えると、占術師・愚者に向かって「申し訳ありません!」と謝罪をし、頭を下げた。

この・・・馬鹿っ!
せっかくこの場が丸く収まってたってのに!

官吏と護衛の者たちは、一斉に視線でロキを責めた。

「どうかお気になさらず」
「はっ。ありがたき御言葉、恐れ入ります」

それで一同は、またホッと胸をなでおろした。
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