フォーチュン
「アンジェリーク様はどこにいらっしゃるのか」
「レアルタにいた、ということは、恐らくプリウスで身分証を作ったんじゃないですか」
「だとしたら、今の皇女の居所を見つけるのは、ますます容易ではなくなった」
「あれからもうひと月以上経っている。皇女がレアルタもしくはプリウスにいらっしゃる可能性は低いだろう」
「身分証を手に入れたということは、今皇女はドラークへ向かっている、ということではないでしょうか」
「そうだな」とユーリスは言いながら、テーブルに広げられている世界地図を見た。

「皇女がプリウスにいらした、と仮定をして。そこからドラークまで、どういうルートでやって来るか」
「陸で来るか、レアルタの港へ移動をして船で来るか」
「陸だと一旦バルドーに近づかなくてはならない。それは避けるんじゃないでしょうか」
「そうだな。陸でそれを避けたら、かなり遠回りなルートになるし」
「ヴァーロ川を北上するか」
「それも陸ルートとほぼ変わらないぞ」
「レアルタ北西の港からポルト海を渡るか、近隣諸国の港からエクリア海を渡るか」
「プリウスからどちらの港へも、距離は同等」
「いずれにしても、ドラーク行きの船はたくさんある。どの都市に着くのかも見当をつけなければ」
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