フォーチュン
「な・・ということは、アンジェリーク皇女が見つかったというのか!」
「然様でございます、国王様」

それで北の娼館か。
ということは、皇女は人売りに売られたということか。
ユーリスが自棄を起こさなければ良いが・・・。
我が息子ながら、あれが本気で怒ると、龍より恐ろしい存在となる。
そうなると、誰も止めることはできぬからな。

マクシミリアン国王は、フッと笑うと「とはいえ、めでたいことよ」とつぶやいた。

「今日は私も忙しくなりそうだな。フレデリック」
「はっ」
「もしユーリスから伝令が来た際は、処遇は全て任せると伝えておけ。協力も惜しむでないぞ」
「かしこまりました、国王様」
「愚者よ」
「はい、国王様」
「これで運命の輪は正しく回るのか」
「全てはユーリス様とアンジェリーク様次第でございます」

マクシミリアン国王は、遠い目をして「そうだな」とつぶやいた。
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