フォーチュン
「弁償しな!」
「あっ、あの、いくら、ですか」
「本当は値がつけられないほど高価な壷なんだけどねぇ。100万ルキアで手を打ってやるよ」

マダム・ルッソは意地悪くほくそ笑みながら、腕を組んでアンジェリークを見た。

「そ、そんな大金、私は持っていません」
「あっそう。じゃあ金を稼いでもらうしかないね」
「え。それは・・・」

アンジェリークは絶望的な目でマダム・ルッソを見たが、慈悲が与えられることはもちろんなかった。

こうしてアンジェリークは、マダム・ルッソの娼館に来て2週間、ついに娼婦として我が身を売る羽目になってしまった。

最初から娼婦にはさせず、娼館の家事雑用をさせることで、身に危険が及ばないと安心させる。
しかし、安心し始めた矢先に、お金を必要とせざるを得ない状況を作り上げ、逃げ場を絶つ。
狡賢いマダム・ルッソは、いつもこうして自分の館の娼婦を囲っていた。
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