フォーチュン
「ところでユーリスよ」
「はい父上」
「アンジェリーク皇女の様子は」
「今は眠っていま・・・いや、もう起きているかもしれません。今までの心労もありますので、バルドーの女帝が到着するまでは、そっとしておいてほしいのですが」
「ふむ、そうだな。皇女がマダム・ルッソのところにいた、という事実は、公にはされていないな？」
「されておりません」と、護衛のオブライアンが即答した。

ローデワイクとオブライアンがしばらくマダム・ルッソのところへ留まっていたのは、そのためだと言っても過言ではない。
「よかろう」と国王が言ったのと同時に、ユーリスが椅子から立ち上がった。

「ユーリス、どこへ行く」
「アンが待っていますので」
「執務は！」
「俺がしないといけない事があるんですか」

うんざりした声でそう問いかけるユーリスに、マクシミリアン国王は、深いため息をついた。
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