フォーチュン
そのときのことを思い出したアンジェリークは、思わずユーリスに微笑んでいた。
「楽しい話、か。俺が幼少の頃の、“やんちゃ”なエピソードだろう」
「えっ!な、なんでそれを・・・」
素直に驚くアンジェリークの表情がおかしくて、ユーリスはフッと笑った。
「マチルダは俺の乳母だった。ついでに言うと、コンラッドの母でもある」
「まあ・・・そうでしたか」
本当の「コンラッド」は昨日見かけたし、ユーリス様の護衛長をしていると、マチルダから聞いた。
私は昨日までマダム・ルッソのところにいて・・・あそこから助け出されたこと、その後起こったこと、それだけじゃなくて、バルドーを抜け出してから、あちこちの国で暮らしていたこと全てが、まるで夢のように思えてならない。
でも私は今、ドラーク王国・ユーリス王子の私室に、ユーリス様と一緒にいる。
この現実が信じられない・・・けど、信じなければならないのよね。
気づけばアンジェリークは、さっきユーリスにキスをされた唇に、そっと触れていた。
それだけでユーリスの欲望に火が灯る。
しかし、「がっつくな」という母と乳母の助言を忘れていないユーリスは、欲望をひとまず抑えこんだ。
「楽しい話、か。俺が幼少の頃の、“やんちゃ”なエピソードだろう」
「えっ!な、なんでそれを・・・」
素直に驚くアンジェリークの表情がおかしくて、ユーリスはフッと笑った。
「マチルダは俺の乳母だった。ついでに言うと、コンラッドの母でもある」
「まあ・・・そうでしたか」
本当の「コンラッド」は昨日見かけたし、ユーリス様の護衛長をしていると、マチルダから聞いた。
私は昨日までマダム・ルッソのところにいて・・・あそこから助け出されたこと、その後起こったこと、それだけじゃなくて、バルドーを抜け出してから、あちこちの国で暮らしていたこと全てが、まるで夢のように思えてならない。
でも私は今、ドラーク王国・ユーリス王子の私室に、ユーリス様と一緒にいる。
この現実が信じられない・・・けど、信じなければならないのよね。
気づけばアンジェリークは、さっきユーリスにキスをされた唇に、そっと触れていた。
それだけでユーリスの欲望に火が灯る。
しかし、「がっつくな」という母と乳母の助言を忘れていないユーリスは、欲望をひとまず抑えこんだ。