フォーチュン
ユーリスの青灰色の瞳が、憂いで揺らぐ。
美麗なその顔に苦悩が浮かぶ。
アンジェリークは慰めるように、ユーリスの頬にそっと手を置いた。

「ユーリス様・・・」
「ユーリス、だ」
「はぃ。ユー・・・リス」
「俺を許してくれるか?」
「も、もちろん!そもそも私は、貴方に対して、許すとか許せないという気持ちを持ってはいません!」
「そうか」とユーリスがつぶやいたとき、ドアをノックする音が聞こえた。

ユーリスは今度、眉間にグッとしわを寄せて思いきり不機嫌な顔をした。
彼の膝の上にいるアンジェリークは、思わず身をすくませる。
そんなアンジェリークを安心させるように、ユーリスはアンジェリークの額にキスをすると、膝から下ろしてソファに座らせ、ドアのほうへ向かった。
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