フォーチュン
「アン」
「・・・はい?」
「バルドーを出てからの暮らしぶりを少しずつで良い、俺に聞かせてくれ」
「はい!」

賊に遭ったり、娼館に売られたりといった、危険な思いをしたことは間違いない。
しかし、俺のアンは今ここに、俺とともにいる。
元気な姿で。
それが一番重要だが、話の内容によっては制裁を加える必要があるかもしれないな。
例えば、今アンの口から出た「ディオドラ」という女。
恐らくアンから宝石を奪った賊とグルではないか?

ユーリスは、形良い唇を片方だけ上向けてフッと笑うと、アンジェリークを抱きかかえた。
そして自分の「悪魔チックな微笑み」を見せないよう、スタスタと歩くと、ベッドにそっと寝かせる。
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