フォーチュン
「私はその・・・ユーリス様には、恋に恋をしていたの。まだ一度もお会いしたことがなかったけれど、とても容姿端麗で、大国の王子様で、何より名高いロマンチストで」
「ええ、そうね」
「心が一時ときめいたのは確かよ。でもウィリアムのことを思うと、心がもっとときめくの。しかもずっと」

夢見心地なすみれ色の瞳をしているアナスタシアを見て、アンジェリークは心から安堵した。

「ウィリアム王子に心を奪われたのね」
「ええ。私はウィリアムから愛をもらっているの。あのときアンが心ここにあらずな状態だった理由が、今ではよく分かるわ。私が今、それを体験しているところだから」

二人は顔を見合わせてニッコリ微笑むと、ひしと抱き合った。

「おめでとう、アンジェリーク」
「姉様も、おめでとう。お二人に末永い幸がありますように」
「ありがとう。あなた方お二人にも、末永い幸がありますように」
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