フォーチュン
「ああ。家庭にある不要品を軒に並べて売り買いする。時には物々交換で取引を成立させる。がらくた市でも、基本はもちろん“夏至祭価格”だ」
「まあ、そうですか。私も行きたかったわ」
「次年度の夏至祭のとき、また俺が案内してやろう」
「ええ・・・ぜひお願いします」

それが叶わぬ願いだと十分承知している。
そしてそれがコンラッドの社交辞令だということも、十分分かっている。
それでもコンラッドの申し出が、彼がそう言ってくれたことが、とても嬉しかった。

「どこか行きたいところはあるか」
「あの・・・はい。“生命の木”を見てみたいです」
「だろうな」

そうユーリスは言うと、ニヤッと笑った。
< 37 / 318 >

この作品をシェア

pagetop