フォーチュン
「アンも触れてみるか?」
「ええ、ぜひ」

二人は手をつないだまま、生命の木に近づいた。
確かに「どこにでもある」木ではあるが、どっしりとした太さはあるし、アンジェリークの背丈よりも、もちろんはるかに高くそびえ立っている。

立派だわ。
生命の木の根は、世界中に張り巡らされてつながっていると言われている迷信は、本当かもしれない。
アンはそう思いながら、生命の木の幹にそっと触れた。

『破壊。死。そして再生。万物はそれを繰り返しながら進化を遂げている・・・』
「えっ!?」

アンジェリークは思わず叫び声を上げると、サッと手を引っ込めた。

「どうした」
「あ・・・・・・いえ」

まさか生命の木から「声」が聞こえた、なんて言えない!
そんなことを言ったら、気が変になったとコンラッドに思われる・・・。
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